マイナスイオンの人体への生理学的効果の検証

2001.3.21菅原研究所 山之内健二

ここ数年来のマイナスイオンに関する動向は、21世紀の環境・健康というベクトルと相まって、メーカー主導の玉石混合の様相を呈してきている。学問レベルでも事実と仮説が混合し、さながらかつての遠赤外線ブームと同じ終焉を迎えるかのごとくき危機感を覚えないでもない。

今回は、マイナスイオンの生理学的な、臨床及び実験結果のみをピックアップしてみた。こ

こ数年、論文及び媒体ベースでもマイナスイオンに関する様々な実験が行われており、多くの

仮説の元にメーカー主導の実験が行われている。

 

実験データに関しては、快適さの指標である

 

・a波β波測定

・フリッカー測定

・発汗量

・心拍数

・血圧変動

 

等の実験に関しては、数多くのデータが出そろい、マイナスイオンは人に快適な環境を作り出

す、という傾向がはっきりと伺えるので今回は除いた。

 

これら快適さの指標に関しては、数多くの実験が組まれており、はっきりとした結論を導く

までは行かないと思われるが、マイナスイオン環境における、人間工学的アプローチによる快

適性に関しては、低度ではあるがベクトルは存在するといって差し支えないと思われる。

 

マイナスオンはその暴露中は快適な空間を作る、という傾向の一歩先を探るべく、

 

●免疫系

●神経系

●活性酸素系

●その他摂取機構・ph関連

 

と言った生理学的な実験データの中で、ここ数年の新しいモノをいくつか集めてみた。

●マイナスオンとは

一般的にマイナスイオンと呼ばれるものは、大気中にある1nm前後のマイナスに帯電した小イオンを指す。現在マイナスイオンと考えられているモノは02-(H20)nとOH-(H20)nであり、その他にも大気中に含まれるNOXやC03-、SOX-、O-03-、さらに塵などに負に分離した水分子が結合したものも存在すると考えられる。

 

現在商品化されているマイナスイオンの発生器に関しても放電式、水破式、電子放射、鉱石

系などいくつかの系でラインナップが分けられるが、それぞれの系によって、暴露する大気中

のマイナスイオンの内容はかなり異なると考えた方が良さそうである。

●免疫活性に関する実験

1・空気中負イオンのヒトNK細胞への影響

渡部一郎 北大医学部

山内俊幸 松下電工

日本温泉気候物理医学学会誌 36p 2000

●マイナスイオン発生器(気化・放電)

 

3週間、健常人寝室に夜間負イオン発生器を設置稼働、CD+16NK細胞は、25.1-2.3%21.9-1.8%に低下。対照は→27.7-2.1%

 

2・マイナスイオン治療によるNK細胞の活性化

堀口昇 堀口医院理事長

 

マイナスイオンが生命危機を救う168p 1996

 

●マイナスイオン発生器(放電)

●遠赤外線温熱器

●木炭

 

被験者2名(72歳女性・70歳男性)に一ヶ月間のマイナスイオン療法を行い、NK細胞の活性の強さが、表の通り上昇した

●免疫活性に関する考察

二つの実験で異なる結果がでている。 渡部、山内らの実験では、マイナスイオン効果によるリラックスに伴い、免疫学的なストレスが低下した為の細胞数の低下、という考察であり、堀口の実験ではマイナスイオン治療によるリラックスによる細胞活性値の上昇という考察である。

 あわせると、ストレスフリ一時には、NK細胞の数は減少するが活性力はアップすると言うことになろうか。

 

ガン→NK細胞→活性化による破壊・増殖抑制という、マイナスイオンの制ガンカ検証にはまったくならないと思われるが、他実験で検証される、血中phの変化やSOD活性の上昇などをベースに組み立てた説明の方が、免疫活性に関しては把握しやすいと考えられる。

 様々な生理的効果のあると思われるマイナスイオンだが、ここでも、その基幹となる理論の登場が待たれる。

●活性酸素除去抑制に関する実験

3・負イオン導入による活性酸素毒性の防御

古津みお(日天薬)古賀義久(日本理工)

 

日本薬学会年間講演要旨集111p 1998

 

マウスに1週間の負電位の負荷後、パラコート経口投与による活性酸素の発生及び肺の損傷を投与後1週間で観察。

負電位負荷群では投与による体重減少の有意な抑制、及び肺の肥大抑制の確認。観察では肺の損傷を抑制していた。

4・マイナスイオン治療による血清中SOD活性

堀口昇 堀口医院理事長

 

マイナスイオンが生命危機を救う114p 1996

 

●マイナスイオン発生器(放電)

●遠赤外線温熱器

●木炭

 

被験者58名・一ヶ月間のマイナスイオン治療により男性血清総SOD平均値は2.56U1対照群は2.05U1、女性2.44U1対照群2.00U1

5・マイナスイオン発生装置による活性酸素の除去

堀口昇 堀口医院理事長

 

マイナスイオンが生命危機を救う130p 1996

 

●マイナスイオン発生器

 

・OHヒドロキシラジカルにマイナスイオン処理の水道水を与え・OHの不活性度合いを対照

群と比較検証

6・マイナスイオン治療による血中過酸化脂質濃度の変化

堀口昇 堀口医院理事長

 

マイナスイオンが生命危機を救う153p 1996

 

●マイナスイオン発生器(放電)

●遠赤外線温熱器

●木炭

 

一ヶ月の治療により、血中過酸化脂質濃度が3.72nm0113.02nm011、対照群は3.75nm0113.68nm011

●活性酸素除去に関する考察

生体内での活性酸素による害の防御、というベクトルに沿った結果がズラリと並んだ。

 水溶液中でのヒドロキシラジカルの不活性化というのは、生体内を想定してのことであろう。しかし、現在確立されつつあるマイナスイオンを利用した殺菌技術では、微量のオゾンを加えたマイナスイオンの照射により、食品の表面部などで、ヒドロキシラジカルを発生させ殺菌効果をみる理論を考えると、大気吸入によるマイナスイオンの生体内での直接的な活性酸素の抑制除去と言うより、体内抗酸化物質であるSOD酵素などの活性による活性酸素の抑制と考える方がしっくりくる。

 今後とも、マイナスイオンの直接の活性酸素の抑制除去の効果を検証することは難しいと考えられる。