埼玉県立がんセンターに新病棟


平成25年12月、埼玉県立がんセンターに「高度先進がん医療を実践する病院」と「日本一患者と家族にやさしい病院」という2つの特徴を持った新病院がオープンします。さらに東日本大震災を教訓に「災害対策及び省エネ、省CO2対策」も充実させ、ライフラインが止まっても医療が継続できる病院とし、また新病院の敷地には現有の自然林を最大限残しつつ、新たに造る駐車場や通路などにも数多くの植樹を行い、「森の中にある人にやさしい高度医療機関」を目指します。

がん治療に関しては、「手術による治療」・「抗がん剤による治療」・「放射線による治療」だけでなく、近年注目されている「粒子線治療」についても、近隣の治療施設(群馬県:群馬大学医学部附属病院重粒子線医学センター、茨城県:筑波大学附属病院陽子線医学利用研究センター、千葉県:独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院、独立行政法人国立がん研究センター東病院)と連携を取り合い、患者さんを紹介することによって可能となっています。(現在、埼玉県には粒子線治療施設がありません。)

他にも3大治療(集学的治療)の強化として、手術室を7室から12室に、放射線治療治療質を3室から4室に増設します。化学療法外来用ベッドも43床から60床に増床し、国内最大級の病床数となります。さらに緩和ケアの充実のために、緩和ケア病床を18床から36床に倍増させる計画になっています。

また明るく開放的な空間を提供すること、ボランティアによる心のケアの充実させること等により、日本一患者と家族にやさしい病院を実現します。


大阪府が重粒子線治療施設を整備


大阪府は、新たな放射線治療として期待されている重粒子線(炭素線)によるがん治療施設を整備することを決めた。2017年度の治療開始を想定している。重粒子線治療は、がん細胞への殺傷力もっとも強い放射線治療で、従来の放射線治療では十分な効果が得られなかったがんや、手術ができないがんにも用いることのできる治療法です。またからだにメスを入れることもないため、からだにやさしい、高齢者にも適した治療法でもあります。

大阪府によると、重粒子線も含む粒子線による治療の効果があるとされる患者さんは、府内だけでも年間2400人以上にのぼるといいます。近畿地方にある同様の治療施設は、兵庫県たつの市にある兵庫県立粒子線医療センター(重粒子線治療と陽子線治療の両方の治療を行っている、日本で唯一の粒子線治療施設です。平成25年2月1日現在、同センター以外に重粒子線治療を行っている治療施設は国内に2ヵ所、陽子線治療を行っている治療施設は国内に6ヵ所あります。)のみです。大阪府は、隣接地に2016年度移転予定の府立成人病センターと連携し、高度ながん治療の拠点を目指します。

また重粒子線治療は公的医療保険の対象外(先進医療に認定されています。)となっており、治療費の患者さん負担が約300万円にもなることから、貸付制度など患者さんの負担軽減についても検討するとのことです。


前立腺がんの治療法


前立腺がんは比較的穏やかで進行のゆっくりとした場合がおおいので、早期でかつ患者さんが高齢の場合は治療を行わずに経過を観察する方法「PSA監視療法」を選ぶ場合もあります。また積極的な治療法としては、「手術」「放射線治療」「ホルモン療法」「抗がん剤治療」などがあります。

特に早期の場合は選択肢も多く、例えば手術であれば「開腹手術」「腹視鏡下の手術」「ロボット支援手術(ダビンチ手術)」などがあります。

放射線治療の場合も選択肢が多く、「3次元原体照射」「強度変調放射線治療(IMRT)」「重粒子線治療」「陽子線治療」「密封小線源療法」などがあります。

また進行がんや転移のある場合、そして患者さんが高齢者の場合には「ホルモン療法」が行われることが多くあります。ホルモン療法を長期間行い、効果がなくなった場合には他のホルモン剤に変更するか、「タキソテール」などの抗がん剤を使います。

しかしながら「ホルモン療法」は根治を目指す治療ではありません。根治を目指すにはやはり手術か放射線治療のどちらかが必要となります。

また、自由診療にはなってしまいますが、再発時には「HIFU治療」も選択肢の一つとしてあるのではないでしょうか。

・ダビンチ手術

・重粒子線治療

・強度変調放射線治療

・密封小線源療法

・HIFU治療


生まれ変わる「神奈川県立がんセンター」


新しい「神奈川県立がんセンター」が平成25年11月にオープン(予定)します。 新しいがんセンターは神奈川県運転免許試験場跡地に移転・新築され、敷地面積は今より広い約35,000m²(現在は約18,000m²)となることから、病院の建物も大きくなり、敷地内に「病院棟」、「管理・研究棟」、「駐車場棟」、「重粒子線治療施設」などを設置します。病院棟は、地下1階・地上7階建て、管理・研究棟は地上5階建てとなっています。

新しいがんセンターの整備方針は、以下の通りです。

①外来待ち時間を短くし、待機患者を減らすこと。

②高度、最新のがん医療の推進すること。

③療養環境を改善すること。

④都道府県がん診療連携拠点病院の規範となる病院を目指すこと。

⑤患者に優しく質の高い医療を提供すること。

具体的には、診察室を32室から56室に、外来化学療法室のベッドを24床から50床に、手術室を6室から12室に増やします。また放射線治療装置(リニアック)を4台設置し、内視鏡室も4室から6室に増やします。さらに無菌病棟や緩和ケア病棟を増床し、診断・検査の充実のためにPET-CTや、高性能のCT・MRIなど最新の装置も導入します。大部屋を6人から、ゆとりのある4人部屋に変更したり、シャワーやトイレを完備した個室を増やしたり(68室→119室)することも、患者さんにとっては、入院をより快適にすることになると思います。

新しいがんセンターは、平成27年度から重粒子線治療も開始します。愛称は 「i-ROCK(アイロック)」で、関東圏では千葉県千葉市にある放射線医学総合研究所、群馬県前橋市にある群馬大学重粒子線医学研究センターに次いで3ヵ所目の重粒子線治療施設となります。「i-ROCK」では外来通院治療を中心に行いますが、交通アクセスがいいことから、神奈川県内だけではなく東京からも通院での治療が可能になります。

平成23年度の重粒子線治療受診者数は僅か873人、陽子線治療受診者数は1508人です。平成25年度中には、九州国際重粒子線がん治療センター(佐賀県鳥栖市/重粒子線治療)・名古屋陽子線治療センター(愛知県名古屋市/陽子線治療)・相澤病院(長野県松本市/陽子線治療)でも粒子線治療が開始される予定になっています。新しい粒子線治療施設の誕生により、より多くの患者さんが粒子線治療を受けることができるようになることを期待しています。


膵がんの重粒子線治療の可能性


独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センターでは2007年から局所進行膵がんゲムシタビン併用重粒子線治療を行ってきました。ゲムシタビン併用試験では、線量増加を行いつつ76例の治療を実施しました。線量増加に伴い局所制御率が向上し、長期生存が得られる患者さんが増えてきています。比較的高い線量(45.6GyE以上)を照射した36例では、2年生存率64%と良好な治療成績が得られています。

これらの成果を踏まえ、手術ができない患者さんを対象とした局所進行の膵がんに対するゲムシタビン併用重粒子線治療は、2012年の3月に先進医療への移行が認められました。

また、手術を前提とした局所進行膵がんの手術前の短期照射も先進医療として行っています。

しかし残念ながら局所進行がんのみが対象となっており、転移がある場合は対象となっておりません。

また、一定線量以上の粒子線が胃や十二指腸にあたると、潰瘍が出来たり穴が開いてしまうなどのリスクもあります。粒子線による障害は治りにくいことが多いので、このようなリスクがあることも理解して治療にあたる必要があるでしょう。


HIMAC(重粒子線がん治療装置) 一般公開


昨日の2012年10月21日、千葉県の稲毛にある放射線医学総合研究所の重粒子線がん治療装置の一般公開へ行ってきました。

非常に多くの見学者の方がいるので、少々ビックリしました。

ここの施設でびっくりするのは加速器の大きさです。最初に直線で加速する線形加速器(上の写真)もグルグル加速させるシンクロトロン主加速器(下の写真)も、群馬大や今建設中の鳥栖にある九州国際重粒子線がん治療センターの加速器と比較すると、大人と子供の差よりもさらに大きな差があるくらい巨大です。

これは何故かというと、、加速するイオンの重さによるものです。鳥栖の装置は群馬大の装置と基本的には同様なのですが、炭素イオンまでの重さのイオンを加速させることができるように作られてます。ところが、放射線医学総合研究所の施設は炭素よりもっと重い粒子を加速できるように作られているのです。これは、放射線医学総合研究所は基本的には実験施設であるということと大きな関係があります。つまりここでは、重粒子線の可能性を探るために炭素イオンよりも重たい粒子を加速させることが出来るように大型の施設になっているのです。ここでの実験結果を基に他の施設では炭素イオンまでの加速に割り切った設計をしたので施設は小型化出来たというわけです。

しかしこの大型の施設を見ていると治療価格の高さもうなずけるような気がします。


重粒子線がん治療


当社は、すべての重粒子線施設に患者さんをご紹介させていただいております。

【重粒子線治療施設】

放射線医学総合研究所重粒子線医科学センター(千葉県千葉市)                           群馬大学重粒子線医学センター(群馬県前橋市)                                  兵庫県立粒子線医療センター(兵庫県たつの市)

重粒子線というのは、ヘリウム原子より重い放射線です。放射線の親玉のようなものと思っていただければわかりやすいかと思います。この重粒子線を使った治療法は、実は日本人が開発したもので、世界に誇る先進医療技術なのです。

1994年から、放射線物理学や加速器の第一人者である平尾泰男東大名誉教授(現在は当社の最高顧問に就任)のリーダーシップにより、重粒子線を使った治療が開始されました。千葉県の放射線医学総合研究所(以下放医研)にある加速器を使い、重粒子の炭素イオン線を体に照射して、がん細胞を壊死させて治療するというものです。そして、約16年間で5000程度の治療を行い、2003年10月に先進医療に認可されました。

2012年7月現在、国内で重粒子線治療が行われているのは、前出の放医研の重粒子医科学センター病院と兵庫県立粒子線医療センター、群馬大学重粒子線医学研究センターの3ヵ所のみになります。放医研と群馬大学では研究開発をしながら臨床を行い、兵庫の医療センターでは臨床のみを行っています。

そのほかにも5年以上前からすでに、全国30ヵ所から重粒子線治療の施設を作りたいという提案があるのですが、建設コストが放医研で365億円(土地購入費を含む)、群馬大学でも150億円と高額なため、なかなか簡単に建設するというわけにはいきません。この20年弱で、文部科学省も粒子線治療のプロジェクトに約1000億円をつぎ込んでいますが、それでもまったく足りないというのが現状です。

一方、民間では2013年に佐賀県の鳥栖に九州国際重粒子線がん治療センターが、その後も神奈川県、山形県に治療施設が開設される計画があります。民間施設は、従来の治験重粒子線治療ができなかった末期がんの方や複合的ながんの患者の方にも、門戸を開こうという主旨で建設計画がなされています。

■重粒子線治療の特徴

重粒子線は、ある特定の深度で急激に最大エネルギーに達します。このピークのことをブラッグピークと呼んでいます。このピークをがんに照準を合わせて照射することで、高い治療効果が期待できます。

現段階で重粒子線治療は、実質臓器(固形臓器)と呼ばれる臓器に対して行われています。実質臓器ではない管腔臓器(管状袋状の臓器)は、胃や腸などの消化器官が該当し、重粒子線治療は原則行われませんが、2008年からは管腔臓器である食道がんに対しても治療が行われています。

■実際に重粒子線治療を受けるには

治療効果が高く、体への負担も少ないという、夢のような重粒子線治療ですが、実際にその治療を受けている人数は、そう多くはありません。平成23年度中に重粒子線治療を受けられた方は、わずか873名のみです。それはなぜだと思いますか?理由は、患者さんが重粒子線治療を行っている病院へ行きつかないかなです。

最初にがんと診断された病院を母船病院と呼んでいます。この母船病院で手術や抗がん剤治療を提案された場合に、そのまま受け入れてしまう方がほとんどです。でも、「もし自分のがんに重粒子線治療が適用できるのならば、検討したい。」と、まずは意思表示をすることが必要です。

そうして、重粒子医科学センター病院など、重粒子線治療を行っている施設に行くことになったら、母船病院で紹介状とがん標本、CTかMRI画像を準備してもらいます。そして重粒子線治療施設で診断を受け、実際に治療を適用できるかどうか、さらに治療が臨床試験になるか通常の治療になるかが判断されます。

照射が終わった後は、母船病院への通院が再開されます。万が一のために抗がん剤治療を行うような場合も、母船病院で治療することになります。つまり、母船病院と重粒子線治療施設が連携をして、1人の患者さんを治療していくことになります。

重粒子線治療施設を、がん専門病院と勘違いされている方もいらっしゃるかと思いますが、これらの施設(兵庫県立粒子線医療センターを除く)はあくまでも重粒子線治療のみを行う場所であるということを、ご理解いただきたいと思います。

■重粒子線治療を受けるための条件

この重粒子線治療を受けるためには、一定の条件をクリアしなくてはなりません。まずはがんの複数転移がなく、がんの確定診断がなされていることが第一条件となります。つまり、がんは早期(ステージⅠ期、またはⅡ期)でなくてはなりません。ただし、Ⅰ期かⅡ期であっても、例えば肺がんなら、がんが気管支に近いところにあったり、気管支をとりまいているような場合、気管支を失う可能性があるので、治療が行えないこともあります。

また、2ヵ所にがんがある場合は、どちらかを切除後に、残ったがんに照射することになっています。大腸と肝臓にがんがあるなら、大腸がんを手術で切除して、肝臓に照射する、ということになります。

次に、放射線(X線)治療をしていないことが条件になります。それは、治療後に副作用が出た場合、放射線(X線)治療の影響なのか、重粒子線治療によるものなのかが判断できないからです。また、がんが消滅した場合も、どちらの影響かがはっきりしないためです。

次に、管腔臓器(消化管)は基本的には対象外になります。肝臓や肺といった実質臓器は、呼吸と同期して重粒子線を照射することができますが、胃などの管腔臓器は食べ物を消化するためにぜん動運動しているため、焦点が絞りきれず、照射ができません。さらに管腔臓器は皮膜は薄いので、穿孔しやすい、つまり穴が開きやすいのです。すると、細菌感染などのリスクが高まり、せっかく治療しても感染症で亡くなってしまうことがあるため、現在でも食道以外の管腔臓器については、重粒子線治療は行われていません。

ただし、これらの条件はあくまでも目安ですので、がんの状態によって異なる場合もあります。実際には診断を受けて、詳細を確認することが必要です。

費用については、照射回数にかかわらず、314万円の先進医療技術料がかかります。


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