悪性リンパ腫の新たな治療薬


悪性リンパ腫の治療には新しい治療薬が続々と登場しており、再発後も生存期間を大幅に延ばすことが可能になりつつあります。悪性リンパ腫は、骨髄で作られるリンパ球(リンパ管や血管を通って全身に散らばり、ウイルスや異物を攻撃する。)が腫瘍化する病気です。悪性リンパ腫は白血病の約3倍発症するといわれており、特に高齢者に多い病気です。

悪性リンパ腫はホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分類され、日本ではホジキンリンパ腫が約1割、非ホジキンリンパ腫が約9割を占めます。さらに非ホジキンリンパ腫は、リンパ球の中のB細胞が腫瘍化したB細胞リンパ腫と、T細胞・NK細胞が腫瘍化したT/NK細胞リンパ腫に分けられます。ホジキンリンパ腫は主に首やわきの下や胸の縦隔などにあるリンパ節から発生し、非ホジキンリンパ腫はリンパ節から発生する人が半分、残りの半分はあらゆる部位に発生してしまいます。非ホジキンリンパ腫は70種類以上に分類され、組織型が違えば治療法も異なります。つまり悪性リンパ腫では、正しい診断を受けることが非常に重要になります。

正しい診断を受けるためには、細胞診ではなくリンパ節あるいは組織を生検する必要があります。具体的には、病理組織診断、細胞表面マーカー検査、染色体検査、遺伝子解析などを行います。(すべての検査が保険適用になります。)病気により進行スピードが違うため、検査・診断はできるだけ早く行うことが望ましいと思います。

悪性リンパ腫は、悪性度合により低悪性度群、中悪性度群、高悪性度群に分類されます。年単位で進行する低悪性度群では、数年間治療を行わなくても命に別条がないこともありますが、週単位で進行する高悪性度群では、治療が1週間延びたことにより手遅れになってしまったということもあります。中悪性度群は月単位で進行し、日本人に一番多いのが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫です。

診断後は、できている場所、病期などの「病気の状態」と、年齢、全身状態などの「患者さんの状態」を検討して、治療方針を決定します。非ホジキンリンパ腫はB細胞リンパ腫かT/NK細胞リンパ腫か、またできた場所によって、治療方法が大きく違ってきます。病期は、1~2期がリンパ腫が最初にできた場所と横隔膜の上か下にとどまっている限局期、3~4期が遠くの臓器に浸潤している進行期で、こうした「病気の状態」に年齢や全身状態などを考慮して治療方針が決められます。

ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫のいずれも、基本は薬物療法であり、一般的には単独での放射線治療や手術は行われません。自家骨髄移植(自家造血幹細胞移植)は、再発して薬物療法を受け、寛解になった患者さんが対象となっており、あくまでも強い抗がん剤治療のサポートとして行われています。

ホジキンリンパ腫の標準治療はABVD療法という抗がん剤の併用療法です。「1~2期のホジキンリンパ腫の人は、治療をすれば80~90%は寛解になりますが、その場合にも、患者さんの治療後の生活も考えて、副作用などを考慮する必要があります」一方、悪性リンパ腫の大多数を占める非ホジキンリンパ腫では、CHOP療法と呼ばれる抗がん剤の併用療法を標準治療として行います。ただし最近は、B細胞リンパ腫、とくにびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対しては、CHOP療法に分子標的薬リツキサンを併用したR-CHOP療法が標準治療になりつつあります。

それでもCHOP療法やR-CHOP療法のあと、再発・再燃してしまうB細胞リンパ腫の患者さんもいらっしゃいます。そうした患者さんのうち、「再発または難治性の低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫、および、マントル細胞リンパ腫」に対し、ここ数年、フルダラ、ゼヴァリン、トレアキシンなどの新薬が次々保険認可されています。また臨床試験の行われている新薬もたくさんあり、新薬が毎年のように出て、これだけ治療が進んでいる分野はないと思います。適切な治療を受ければ寛解になり、再発してもいろいろな手段があるため、あきらめずに治療を行っていくことが大切です。


http://www.cancer110.com/