こどものがん治療と主なこどものがん


こどものがんにはさまざまな種類があり、またそれぞれの病気にはそれぞれの特徴があります。治療方法・治りやすさについても、さまざまに異なります。こどものがんの場合、治療を行う医療機関は、特にこどものがんの診断・治療の経験が豊富な医療機関をお勧めします。こどものがんは頻度の高い病気ではないため、すべての医療機関がこどものがん治療に精通しているわけではありません。治療の中心的役割を担う医師は、がん治療を担当する小児科医であることが一般的ですが、治療に際しては一般(小児)外科だけでなく、脳神経外科・耳鼻咽喉科・眼科・整形外科などの専門医の協力が必要なことがあります。また放射線治療が必要ながんも少なくありません。そうした治療に対応できる、協力体制の整った医療機関での治療が望ましいと思います。

主なこどものがんは、以下の通りです。

【白血病】

白血病は血液細胞から生じるがんであり、こどものがんの中で最も多い病気です。がん細胞の性質により、急性リンパ性白血病などに分類されます。発熱、顔色が悪い、骨の痛み、出血斑などの症状がみられます。こどもの白血病全体の70%~80%に治癒が期待されます。

【脳腫瘍】

脳に生じるさまざまな腫瘍をまとめて、脳腫瘍と呼んでいます。こどものがんの中では、白血病に次いで多い病気です。どのような性質の腫瘍が、脳のどの部分にできるかにより、症状・治療・治癒の可能性は異なります。頭痛・嘔吐は最も多い症状で、麻痺・けいれん・尿崩症(大量に水を飲み大量に排尿する状態)を伴うこともあります。腫瘍そのものに対する治療だけでなく、けいれんに対する治療・ホルモンの補充療法などが必要になることもあります。

【神経芽腫】

神経芽腫は副腎(腎臓の上にある小さな臓器)、あるいは神経節(背骨の周りにある神経の節目)から生じるがんであり、こどものがんの約8%の頻度です。おなかの腫瘤(こぶ)として発見されることが多いものの、早期に転移を生じて、発熱・骨の痛み・頭の腫瘤(骨や皮膚などへの転移)などの症状を伴うこともあります。転移を伴う神経芽腫の治療成績は、年齢により大きく異なります。乳児には高い治癒率が期待されますが、年長児では40%に満たない生存率となってしまいます。


こどものがんの具体的な症状


こどものがんの症状の多くは特異的(ある症状がみられる場合には、ほぼ間違いなくがんであるという症状)ではなく、一般的な病気の症状として発症します。こども自身、あるいは両親も気づかない症状を、受診した医療機関で偶然指摘され、検査の結果、がんと診断されるようなケースも珍しくはありません。

こどものがんにみられる具体的な症状は、以下の通りです。

①発熱:こどものがんの診断時には、発熱を伴うことがしばしばあります。発熱は必ずしも39~40℃の高熱とは限らず、発熱・解熱を繰り返すこともあります。通常は、がんの診断につながる他の症状も伴うことが多く、こどもの不明熱(原因不明の発熱が続くこと)のうち、がんは10%に満たないとされています。

②頭痛:嘔吐を伴う頭痛は、脳腫瘍の症状としてよく知られています。頭痛を伴う脳腫瘍の場合、何らかの脳神経などの異常に関連する症状を伴う場合があります。

③リンパ節の腫れ:首のまわり・耳の後ろ・顎の下・足の付け根のリンパ節が腫れることがありますが、リンパ節が腫れていても、その原因ががんであることは稀です。

④胸の腫瘤:白血病・リンパ腫・神経芽腫などでは、胸の中、特に左右の肺の間である縦隔とよばれる部分に腫瘤(こぶ)を生じることがあります。縦隔の腫瘤は、気管・心臓・脊髄を圧迫することや胸水を伴うことがあります。このため息苦しさ・咳・顔のむくみ・動悸・下半身の麻痺などの強い症状を生じることがあります。

⑤骨や関節の痛み:痛みはこどものがんの症状としては頻度の高い訴えで、睡眠を妨げるほどの強い痛みの訴えも少なくありません。骨の痛みは白血病でもしばしば経験され、骨肉腫など骨から生じるがん、神経芽腫などの転移でも骨の痛みを生じます。

⑥おなかの腫瘤:おなかの腫瘤を伴うこどものがんは、1歳~5歳に高い頻度で発生します。症状は、がんの種類や進行によりさまざまです。明らかな症状がなく偶然発見される腫瘤がある一方、急速に増大する腫瘤により腸や尿路の圧迫、腹水の貯留など重篤な症状を伴うこともあります。

⑦血液細胞の異常:白血病による白血球数の減少により、重篤な感染症を生じることがあります。また貧血により、顔色が悪い・元気がない・疲れやすいなどの症状を生じたり、血小板の減少により、皮膚や粘膜の出血斑・鼻血が止まらないなどの症状を生じることがあります。


こどものがん


日本では年間2,000~2,500人のこどもが、新たにがんと診断されています。年間の発生率は、こどもの人口1,000人に対し約1人の割合であり、こどもには稀な病気と言えます。こどもの死亡原因を年齢別に見てみると、新生児・乳児に最も頻度が高い病死原因は先天異常であり、それ以降の年齢では、がんが最も多くなっています。多くの幼い命ががんにより失われている一方、こどものがんの診断・治療の進歩は著しく、過去30年間で長期生存率は約30%~約70%にまで向上しています。こどものがんは稀な病気ですが、適切な治療により克服の可能性の高い病気であるとも言えます。

こどものがんのうち、最も発症頻度の高いがんが白血病です。白血病は血液の中の細胞である白血球などから生じるがんで、こどものがんのうち30%~40%を占めています。また脳から生じる脳腫瘍は約19%、リンパ節などから生じるリンパ腫は約10%、副腎あるいは神経節などから生じる神経芽腫は約8%となっています。一方で、成人に多い肺がん・胃がん・大腸がん・乳がんなどは、こどもにはほとんどみられません。

こどもはどうしてがんになるのかについては、分かっていないことが大部分です。加齢や生活習慣はあまり関係がないと思われることから、むしろ何らかの体質が関係しているのではないかと考えられています。さらに、生まれる前の胎児にも、がんが生じることがあることも知られています。また原因がはっきり分かっていないため、現状では予防は困難であると言われています。


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