福島の子供甲状腺検査


福島県の全ての子供を対象に東京電力福島第1原発事故の放射線の影響を調べる県の甲状腺検査で、事故直後から3年目までの1巡目の検査では「異常なし」とされた子供1人が、昨年4月から始まった2巡目検査で甲状腺がんと診断が確定したことが11日、関係者への取材で分かったそうです。また、がんの疑いは7人になったとのことです。

2巡目でがんの確定診断が出たのは初めてのことで、12日に福島市で開かれる県の検討委員会に報告され、放射線の影響か慎重に見極めるとしています。

チェルノブイリ原発事故では4~5年後に子供の甲状腺がんが急増しました。このため県は、事故直後から3年目までに実施した1巡目の結果を放射線の影響がない現状把握のための基礎データとして、2巡目以降でがんが増えるかどうかなどを調べる計画です。1巡目はがんと確定したのは86人、疑いは23人だったそうです。

参考:産経ニュース

http://www.sankei.com/life/news/150212/lif1502120017-n1.html


TSH甲状腺刺激ホルモン抑制療法


TSH甲状腺刺激ホルモン抑制療法は、手術後の再発予防などのために行われる治療法です。甲状腺は甲状腺ホルモンを分泌する臓器ですが、この分泌は脳下垂体から分泌されている甲状腺刺激ホルモン(TSH)によってコントロールされています。

体の中の甲状腺ホルモンが少なくなってくると、脳から甲状腺刺激ホルモン(TSH)がたくさん分泌されて甲状腺の活動に刺激を与えます。刺激を受けることで、甲状腺からは甲状腺ホルモンが分泌されます。甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝や成長の促進に関わる大切なものなのですが、一方で甲状腺刺激ホルモンは甲状腺の活動を活発にするだけではなく、甲状腺のがん細胞の増殖を促進させてしまうというデメリットも持っています。

甲状腺刺激ホルモンが多く存在すると、がんが活性化して増殖能力などが高くなってしまうので、甲状腺がんの手術の後、甲状腺刺激ホルモンを抑制して再発を予防するために、甲状腺ホルモン薬をより多めに服用する治療法がTSH甲状腺刺激ホルモン抑制療法です。ただしTSH甲状腺刺激ホルモン抑制療法の効果が期待できるのは、乳頭がんと濾胞がんに限られています。


小切開甲状腺切除術


甲状腺がんの治療には「手術」・「甲状腺ホルモン療法」・「アイソトープ治療」・「化学療法」・「放射線療法」などが行われています。乳頭がん・濾胞がん・髄様がんの治療については手術が基本となり、がんを含めて甲状腺と周囲のリンパ節の切除も行います。切除範囲はがんの大きさによって異なり、甲状腺の左右どちらかを切除する「葉切除」、甲状腺の3分の2を切除する「亜全摘」、甲状腺をすべて切除する「全摘」があります。

40歳以下の男性、50歳以下の女性の乳頭がん・濾胞がんの場合、悪性度の低いがんが多いため、その場合には「小切開甲状腺切除術」をを行う事もあります。「小切開甲状腺切除術」の場合、首のキズは一般的に行われている手術の3分の1程度の3センチほどとなります。手術による剥離面積が少ないため、手術後の痛み・不快感が著しく減少し、また退院後の首の違和感・肩こりなどの後遺症も軽減されます。

しかし進行したがんとなると状況は異なり、甲状腺全摘・拡大頸部リンパ節郭清などの大きな手術を行うことになります。こうした手術を行い、声帯を動かす反回神経をキズつけてしまったり切断せざるを得ない場合には、手術による合併症(声のかすれや誤飲によりむせるなど)が発生することがあるため注意が必要です。


甲状腺がんの種類と特徴


甲状腺はのど仏の下にあり、その甲状腺にできる甲状腺腫瘍は20代の若い人にも発症するという特徴があります。また甲状腺がんを含めた甲状腺の病気は、男女比1対4で圧倒的に女性に多くなっています。

甲状腺がんは「乳頭がん」・「濾胞がん」・「未分化がん」・「髄様がん」・「悪性リンパ腫」の5種類に分けられます。その中では乳頭がんが圧倒的に多く、全体の約85%を占めています。次いで濾胞がんが多く約10%、残りの約5%がその他3つのがんになります。

患者さんの多い乳頭がん・濾胞がんは40代が最も多く、次いで30代、20代の順となっていますが、稀ではありますが10代の人にも発症することがあります。最も性質の悪いがんは未分化がんで、未分化がんの場合、発見された時点で余命が1年以内という現状も多くあります。一方性質の良い乳頭がんは進行が遅いことが知られており、周囲のリンパ節への転移はあるものの、遠く離れた臓器への転移は極めて稀です。濾胞がんも性質の良いがんではありますが、肺や骨への転移がみられることもあります。また髄様がんは遺伝性のものが、全体の約30%を占めています。

甲状腺から発生する悪性リンパ腫は橋本病(慢性甲状腺炎)のある方に起こることがほとんどであり、橋本病の方は、悪性リンパ腫への注意が必要です。


増加する口腔がん


ここ数年、口の中のがん(=口腔がん)が増加しています。大事には至らなかったようですが、昨年末、甘利経済再生担当大臣が罹患したがんも「舌がん」でした。口腔がんの患者数は年間約7000人で、すでに子宮頸がんの患者数を上回っています。がん患者の中で口腔がんの占める割合は、全体の1~2%程度に過ぎませんが、30年前と比べると約3倍に増加しています。さらに10年後には、今の1.5倍程度に増加するのではないかと言われています。

口腔がんはできる場所によって「口唇がん」・「舌がん」・「口底がん」・「歯肉がん」などに区分されますが、なかでも「舌がん」が最も発生のリスクが高く、口腔がん全体の約40%を占めています。舌がんの場合は、胃がんや大腸がんなどとは異なり、胃カメラやファーバースコープなどを使用しなくても直接目で見て確認ができるため、その特徴を理解していれば比較的発見がしやすいガンだとも言えます。

口腔がんの特徴は、以下の通りです。

見た目の特徴:ただれる、出血するなどの組織の変化がみられる。

触った特徴:中が硬く、コリコリした「しこり」があり、痛みを伴うこともある。

舌を動かすと、引きつるような感じがある。

症状が進むと引きつるような感じは更に強くなり、舌が動かしにくくなったり、発音や嚥下(飲み込むこと。)に障害が出たり首回りのリンパ節に転移をし腫れたりすることがあります。歯の治療で歯科医院を受診した際、偶然見つかることもありますが、先述のような症状がある場合やなかなか治らない口内炎のようなできものがある場合には、早めに口腔外科を受診して下さい。初期であれば5年生存率は約80%であり、初期のものほど転移のリスクも少なく、治療成績も良好です。


頭頚部がんの放射線治療


頭頚部がんとは、首から上で脳以外の悪性腫瘍の総称です。この部分は、見る・聞く・話す・食べる・息を吸うなどといった重要な機能が集中しており、さらに外見上の変化が非常に目立つ場所です。このことが治療方針に大きく関わっててきます。

ここでは代表的な頭頚部がんを疾患ごとに取り上げていきます。

上咽頭がん:放射線が効きやすい腫瘍が多いことと脳や視神経などに近く、手術は困難なため、放射線治療(+化学療法)が標準的な治療となります。

中咽頭がん:治療後の機能(特に嚥下)の予測や腫瘍の広がりにより、手術が勧められる場合と放射線治療(+化学療法)が勧められる場合があります。

下咽頭がん・喉頭がん:手術では声帯を全部もしくは一部切除する必要があり、声が残らないか声の質が低下することが多く、音声温存目的で放射線(+化学療法)が選ばれることが多くあります。

鼻・副鼻腔がん:手術での顔貌の変化を低減するために手術・放射線・抗がん剤を併用する場合がります(三者併用療法)。この領域では、粒子線治療(重粒子線治療・陽子線治療)が有効なこともあります。

甲状腺がん:手術が一般的ですが、遠隔転移例では放射性ヨード内服による内照射療法が行われることもあります。

頭頚部放射線治療で起こりうる有害事象

禁煙は必須です。粘膜炎(口内炎など)、皮膚炎、味覚障害、声がれ、滲出性中耳炎(水が溜まり、聴力が下がる。)、嚥下時の違和感、唾液腺障害(唾液が出にくくなる。口の中が乾いて粘っこくなる。)などがあります。

唾液腺障害が起こると、虫歯から顎の骨に炎症が及ぶこともあるので、治療前の抜歯が必要なこともあります。


口腔がん発生の原因と予防


「たばこ」と「お酒」は口腔がん発生の最大のリスクであり、「たばこ」を吸う人は「たばこ」を吸わない人の約7倍、飲酒の習慣のある人はない人に比べ約6倍、口腔がんを発症する確率が増えるという調査結果があります。また「たばこ」と「お酒」には相乗効果があり、両方の習慣がある人は片方だけの習慣がある人の数倍の発がんリスクがあるともいわれています。

むし歯で欠けた歯をそのままにしておいたり、入れ歯や差し歯が合わずに舌や頬、歯肉の粘膜を傷つけたりこすれるなどの刺激があると、口腔がんの危険性を上げることも指摘されています。特に舌がんの発生に、歯や差し歯による刺激が強く影響するといわれています。

口腔がんの予防法としては、以下のようなものがあります。

①「たばこ」や「お酒」を控えること。

②偏食をせず、栄養のバランスのとれた食事をすること。

③歯磨きやうがいなどを行い、口の中を清潔にすること。

④壊れた入れ歯、合わない入れ歯、治療していないむし歯などのとがったかど、破れたかぶせものなどをそのままにしておかず、きちんと治療すること。

口の中は鏡で見ることもでき、感覚も鋭敏です。そのため口腔がんは、自分で発見することも可能です。歯磨きの跡など定期的に鏡を見て口の中をチェックすることが、口腔がんの予防につながります。


口腔がんの罹患状況と治療法


口には、咀嚼(ものを噛む)、嚥下(飲み込む)、発音などの重要な機能があるため、口の健康は生きていくうえでもとても大切です。口の病気といえば、口内炎・歯周病・むし歯などが一般的ですが、口にもがん(口腔がん)が発生し、近年その数が増加していることはあまり知られていません。口腔がんは早期発見・早期治療によりほとんど障害を残さない治療ができる病気ですが、進行したがんでは大がかりな治療が必要になり、食事や会話などの日常生活に大きな障害が生じます。

我が国では、口腔がんで亡くなる方が急増しています。死亡者数を1990年と2005年で比較すると、男性は約2000人から約4000人へ、女性は約750人から約1500人へとそれぞれ約2倍に増えています。(国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス)罹患率・死亡率ともに50歳以降増加します。口腔がんの5年生存率は60~80%といわれていますが、初期がんでは90%以上の生存率も報告されているため、早期発見・早期治療が重要です。

口腔がんの診断は視診と触診から始まり、その後生検が行われます。またがんの広がりを確認するために、CT検査・MRI検査・PET検査なども行われます。口腔がんの治療法は病期によって異なりますが、手術と放射線治療が中心となり、状況に応じて抗がん剤治療が行われます。

手術については、口の中のがんがある部分(原発巣)を切除する原発巣手術(実際には原発巣だけではなく、安全域といってがんの周囲の正常組織も大きめに切除を行います。)、首のリンパ節にがんが転移した場合に行われる頸部郭清術(首のリンパ節にがんが転移した場合に行われる手術です。)、原発巣手術により欠損が生じた部分を再建する再建手術が行われています。

またがんが小さな場合には、放射線単独で治療が行われることもあります。進行したがんには対しては、放射線治療は手術や抗がん剤治療と併用して用いられます。

各治療の問題点としては、手術の場合には、からだへの負担が大きく、食事や会話の障害や顔の変形などが生じることがあります。放射線治療では、口内炎・皮膚炎・白血球数減少・吐気・だるさなどが生じ、一時的に治療を中止しなくてはならないこともあります。さらに、唾液が出なくなって口の中が渇いたり、味覚がなくなってしまったりすることもあります。

治療を行う際には、それぞれの治療のメリット・デメリットについて十分に検討を重ね行うことが大切です。


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