がん免疫療法の臨床試験の手引案がまとめられました。


専門家による検討委員会が免疫の力を利用してがんを攻撃する免疫療法の開発を進めることを目的とした臨床試験(治験)の手引案をまとめました。免疫療法は腫瘍(しゅよう)が小さくならなくても生存期間が延びる場合があるなどと言われており、その特性に合わせた有効性や安全性の評価の指針が示されているそうです。厚生労働省はこの手引案をもとに国の指針をつくり、実用化を促すとのことです。

免疫療法は手術、抗がん剤、放射線に次ぐ第4の治療法として期待されています。免疫細胞を注入する治療法や、がん細胞特有の目印を利用するワクチン療法、免疫のブレーキを解除する治療法などが研究されています。

しかし、がんを直接攻撃する抗がん剤とは作用が異なり、腫瘍がどれくらい縮小したかなどでみる従来の評価法では効果の判定が難しい場合があります。また、免疫細胞が増殖して体内に長い間とどまることもあり、通常の薬とは副作用の出方が異なる可能性もあるそうです。一言で免疫療法と言っても、現在は数多くの種類が存在しますので、この手引案により明確な指針が打ち出されることが期待されます。

参考:朝日新聞

http://www.asahi.com/articles/ASH1963DLH19ULBJ017.html


新たな照射技術を搭載した陽子線治療システム


2014年10月23日、日立製作所は動体追跡照射技術を適用した「陽子線治療システム PROBEAT-RT」が、薬事法に基づく医療機器の製造販売承認を取得したと発表がありました。2010年に国家プロジェクト「最先端研究開発支援プログラム」の採択を受け、北海道大学と共同開発を進めていたそうで、今年度中に動体追跡照射技術を適用したシステムでの治療を同大学で開始するそうです。

陽子線によるがん治療は、水素の原子核である陽子を加速器で高速に加速し、腫瘍に集中して照射することでがんを治療する放射線治療の1つです。脳の腫瘍など、動かない部位では集中して照射するピンポイントの治療が可能ですが、肺・肝臓などの体幹部の腫瘍は呼吸などで位置が変動するため、腫瘍位置をリアルタイムで捉えて正確に陽子線を照射する技術が求められてきました。

今回承認されたPROBEAT-RTは、北大の動体追跡照射技術と日立のスポットスキャニング照射技術を組み合わせたものだそうです。2014年3月に承認を取得したスポットスキャニング照射技術を搭載した陽子線治療システムに、動体追跡照射技術を組み合わせることで、呼吸などで位置が変動する腫瘍でも、高精度な陽子線の照射を実現しており、正常部位への照射も大幅に減らせるということです。


福井県立病院で開始される乳がんに対する陽子線治療の臨床試験


福井県立病院の陽子線がん治療センターは今秋以降をめどに、初期の乳がんを対象にした陽子線がん治療の臨床試験を始める予定です。乳がんの場合、常に同じ状態で患部を固定するのが難しく、照射する場所がずれるという課題がありましたが、ブラジャー型の固定具を開発したことで、それを克服しました。乳がんに対する陽子線臨床試験は、国内では初めてです。

初期の乳がんは手術するケースも多いのですが、乳房を切ることを嫌って治療を拒否する患者さんもいらっしゃいます。このため同センターは大手下着メーカーの協力を得て、2011年度から乳房を固定する技術研究を進めてきました。このほど、専用の固定具を開発し、うつぶせで治療するために胸部に穴の空いたベッドを導入しました。

乳がんの臨床試験では、3月に導入した陽子線を当てる位置をミリ単位で調整する「コンピューター断層撮影(CT)自動位置決めシステム」を活用。陽子線をうつぶせになった乳がん患者の下側から照射します。周辺の正常な組織への副作用は少なく、痛みもありません。

病院スタッフと外部有識者で構成する倫理委員会で承認が得られれば、臨床試験に入ります。2年間で18人の治療を見込んでおり、山本和高センター長は「手術と同程度の治療効果が得られるよう努力していきたい」と話しています。

陽子線による治療は初期の肺がんの場合、1回の治療時間は約30分(照射は1~2分)で10回程度行います。山本センター長によると、陽子線治療を受けた初期の肺がん患者の8~9割は、がん細胞が死ぬなどの効果があるとのこと。

2011年3月に開所した同センターは現在、肝臓、肺、前立腺、頭頸部(けいぶ)のがん治療を対象としています。患者さんの受け入れ数は2011年度は115人、2012年度は152人、2013年度は186人と年々伸びていおり、今後も患者さんの増加が期待されています。


埼玉県立がんセンターに新病棟


平成25年12月、埼玉県立がんセンターに「高度先進がん医療を実践する病院」と「日本一患者と家族にやさしい病院」という2つの特徴を持った新病院がオープンします。さらに東日本大震災を教訓に「災害対策及び省エネ、省CO2対策」も充実させ、ライフラインが止まっても医療が継続できる病院とし、また新病院の敷地には現有の自然林を最大限残しつつ、新たに造る駐車場や通路などにも数多くの植樹を行い、「森の中にある人にやさしい高度医療機関」を目指します。

がん治療に関しては、「手術による治療」・「抗がん剤による治療」・「放射線による治療」だけでなく、近年注目されている「粒子線治療」についても、近隣の治療施設(群馬県:群馬大学医学部附属病院重粒子線医学センター、茨城県:筑波大学附属病院陽子線医学利用研究センター、千葉県:独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院、独立行政法人国立がん研究センター東病院)と連携を取り合い、患者さんを紹介することによって可能となっています。(現在、埼玉県には粒子線治療施設がありません。)

他にも3大治療(集学的治療)の強化として、手術室を7室から12室に、放射線治療治療質を3室から4室に増設します。化学療法外来用ベッドも43床から60床に増床し、国内最大級の病床数となります。さらに緩和ケアの充実のために、緩和ケア病床を18床から36床に倍増させる計画になっています。

また明るく開放的な空間を提供すること、ボランティアによる心のケアの充実させること等により、日本一患者と家族にやさしい病院を実現します。


大阪府が重粒子線治療施設を整備


大阪府は、新たな放射線治療として期待されている重粒子線(炭素線)によるがん治療施設を整備することを決めた。2017年度の治療開始を想定している。重粒子線治療は、がん細胞への殺傷力もっとも強い放射線治療で、従来の放射線治療では十分な効果が得られなかったがんや、手術ができないがんにも用いることのできる治療法です。またからだにメスを入れることもないため、からだにやさしい、高齢者にも適した治療法でもあります。

大阪府によると、重粒子線も含む粒子線による治療の効果があるとされる患者さんは、府内だけでも年間2400人以上にのぼるといいます。近畿地方にある同様の治療施設は、兵庫県たつの市にある兵庫県立粒子線医療センター(重粒子線治療と陽子線治療の両方の治療を行っている、日本で唯一の粒子線治療施設です。平成25年2月1日現在、同センター以外に重粒子線治療を行っている治療施設は国内に2ヵ所、陽子線治療を行っている治療施設は国内に6ヵ所あります。)のみです。大阪府は、隣接地に2016年度移転予定の府立成人病センターと連携し、高度ながん治療の拠点を目指します。

また重粒子線治療は公的医療保険の対象外(先進医療に認定されています。)となっており、治療費の患者さん負担が約300万円にもなることから、貸付制度など患者さんの負担軽減についても検討するとのことです。


岡山大学病院にIVRセンター開設


岡山大学病院に、カテーテルによる血管内治療や、腫瘍部に細い電極針を刺して焼き切るラジオ波治療などを専門に行うIVR(インターベンショナル・ラジオロジー)センターが新設され、4月より稼働します。

昨年6月より同センターは、病院直属の機関としてスタートしていましたが、IVR治療専門のフロアを新設することで分散していた部門を集約させ、さらに高度な医療を提供することとなります。これらの治療に特化したセンターは、全国にもほとんどありません。

インターベンショナル・ラジオロジーとは、画像を見ながら行う低侵襲治療で、同大学病院ではこれまで、X線透視下にカテーテルで行う心血管系治療やCT画像のもとで行う肺がんのラジオ波焼灼療法などが放射線部特撮室を中心に行われていました。体に傷跡の残らないこれらの治療は「メスを使わない手術」といわれ、同大学病院の登録症例数は日本IVR学会の全国国立大学病院のなかで、手術と並びトップレベルを誇ります。

新設される同センターは、脳神経外科、放射線科、心臓などの循環器、小児循環器、麻酔の5部門で構成され、各領域の専門医のほか看護師、診療放射線技師ら約50人が所属します。

治療中に腫瘍や血管などをリアルタイムで映し出せる最新のCT2台やMRI(磁気共鳴画像装置)1台、血管造影装置5台が導入され、肺がんや肝がんに対するラジオ波焼灼療法など年間5千例の治療を予定しています。

同大学病院では、患者さんのQOL(生活の質)向上につなげるとともに、IVR治療の全国の拠点、ひいてはアジア拠点となることを目指すとしています。


前立腺がんの治療法


前立腺がんは比較的穏やかで進行のゆっくりとした場合がおおいので、早期でかつ患者さんが高齢の場合は治療を行わずに経過を観察する方法「PSA監視療法」を選ぶ場合もあります。また積極的な治療法としては、「手術」「放射線治療」「ホルモン療法」「抗がん剤治療」などがあります。

特に早期の場合は選択肢も多く、例えば手術であれば「開腹手術」「腹視鏡下の手術」「ロボット支援手術(ダビンチ手術)」などがあります。

放射線治療の場合も選択肢が多く、「3次元原体照射」「強度変調放射線治療(IMRT)」「重粒子線治療」「陽子線治療」「密封小線源療法」などがあります。

また進行がんや転移のある場合、そして患者さんが高齢者の場合には「ホルモン療法」が行われることが多くあります。ホルモン療法を長期間行い、効果がなくなった場合には他のホルモン剤に変更するか、「タキソテール」などの抗がん剤を使います。

しかしながら「ホルモン療法」は根治を目指す治療ではありません。根治を目指すにはやはり手術か放射線治療のどちらかが必要となります。

また、自由診療にはなってしまいますが、再発時には「HIFU治療」も選択肢の一つとしてあるのではないでしょうか。

・ダビンチ手術

・重粒子線治療

・強度変調放射線治療

・密封小線源療法

・HIFU治療