見えないがん細胞も叩く次世代の治療機器(ホウ素中性子捕捉療法)


近年、がんの放射線治療ではさまざまな技術が開発されています。X線やγ線は直線の光線が体内を通過しながら、がんのかたまりを破壊し、陽子線や重粒子線は、粒子をがんのかたまりに当てて死滅させます。ただし、いずれも画像に映る腫瘍は狙い撃ちにできても、周辺の見えないがん細胞までターゲットにはできません。

また、従来の放射線治療では、正常な細胞にも少なからずダメージを与えるため、治療できる回数には制約があります。そんなデメリットを克服する次世代のがん治療として、国内外から期待を集めているのが「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」です。がん細胞だけが取り込むホウ素に対し、体外から照射した中性子が反応することで、がん細胞だけを破壊します。

従来の放射線とは仕組みが異なり、見えないがん細胞も捉えることができる治療法です。現在、筑波大学陽子線医学利用研究センターが、産学官共同プロジェクトで最先端のBNCT機器を開発しています。かつては研究用原子炉で研究が進められていましたが、それとは異なる加速器による新しい機器が誕生しつつあるそうです。

陽子線や重粒子線は、粒子の力を発揮させるための機器が大がかりで、広い面積の敷地が必要ですが、BNCTはこれらの4分の1以下のスペースに入る大きさです。また、従来の放射線治療は、複数回の照射が必要だったが、BNCTは、たった1回の治療で効果を得られるのも利点となります。

参考:zakzak

http://www.zakzak.co.jp/health/doctor/news/20150401/dct1504010830001-n1.htm


中性子を照射する「頭頸部がん」の臨床試験


放射線を使った次世代のがん治療法「ホウ素中性子捕捉療法」(BNCT)で、喉頭がんや舌がんといった「頭(とう)頸(けい)部がん」に対する世界初の治験(臨床試験)が、川崎医科大(岡山県倉敷市)と京都大原子炉実験所(大阪府熊取町)で始まりました。

この治療法は、がん細胞を狙い撃ちするため、従来の放射線治療に比べて副作用が少ないとされています。早ければ5年程度で薬事法上の承認を受け、実用化したい考えです。

具体的には、点滴でがん細胞にホウ素を取り込ませ、そこに弱い中性子線を当てます。するとホウ素が崩壊して放射線を発し、がんを内側から破壊するという仕組みになっています。放射線は細胞一つ分程度しか広がらないため、正常な細胞は傷つけにくく、副作用が少ないと期待されています。

頭頸部がんは、手術で切除すると会話や食事に支障が出ることもあり、放射線治療を選ぶ患者さんがたくさんいらっしゃいます。ただし従来の方法では正常な細胞も傷つけてしまい、皮膚がただれるなどの副作用が懸念されます。BNCTの臨床研究では、通常がん細胞の減少を確認するために1ヵ月程度かかるところを、2、3日に短縮できるとの成果もみられるといいます。

新たな治療法の開発として、この臨床試験には多くの期待が込められています。